2016.02.02

君は “花ブロック”を知っているかい?


突然ですがみなさん、“花ブロック”って知っていますか?

 じゃん!
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名称だけを聞くと「知らな~い」と答える方が多いかもしれませんが、写真を見れば「あぁっ~、コレのことね!…って、コレ“花ブロック”っていうの!?」と思う方も多いのではないでしょうか?さらに、この”花ブロック” 。実は沖縄生まれの建築資材だという事実を知っていた方はどのぐらいいらっしゃるでしょうか!?

ということで今、そのデザイン性や機能性に県外からも注目が集まっている花形ブロックの知られざる世界をご紹介!

”花ブロック”シェアぶっちぎりのNo.1メーカー、「山内コンクリートブロック」さんにお邪魔したわよ!

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リサーチを進めると県内…いや国内シェアNo.1の”花ブロック”メーカーが、西原町にある山内コンクリートブロックさん(以下、山内コン)という情報をキャッチ。3代目社長の安里さんにお話を伺った。

 

”花ブロック”はいつ、どのようにして誕生したのでしょう?

戦前の沖縄はいわゆる木造の、今でいう“沖縄古民家”が建築の主流でした。戦後、米軍が基地を整備するにあたって、アメリカからコンクリートやブロック製造機が持ち込まれた時、沖縄でもアメリカから機械のカタログを取り寄せて機械を自作。「沖縄は亜熱帯気候なので日差しが強く、その日差しを和らげるために、影を作って風を通そう」ということでブロックが広がったと聞いています。
そのブロックの積み方を変え、見える穴のカタチを空洞ブロック(楕円形小判型)から四角や丸に変えて意匠登録をしたのが建築士の仲座久雄さん。これが”花ブロック”のはじまりです。

名称がカワイイですよね。その名前の由来は?

製造が始まった当時は“異型ブロック”と呼ばれていたようです。でも、いつの頃からか“花ブロック”と呼ばれるようになっていたようですね。明確な理由はわかりませんが、一説によると、読谷花織(ゆんたんざはなうい)の模様のように幾何学模様が多いところから、そう呼ばれていると文献(※)に記載がありますね。先代の社長も「本当のところは、わからない」と話していました。

貴重なお話以外にも、実際に県内で今、見ることができる建築物の情報も得ることができた。早速、足を延ばしてみることにしよう。

 

現代の”花ブロック”建築で多く見られる、カーテンウォールとしての”花ブロック”たち

県内で数ある”花ブロック”の建築物から有名なこの3つをピックアップ。皆さんは、いくつご存知だろうか。

沖縄県警察運転免許センター(豊見城市)
toyosaki

沖縄県新看護研修センター(南風原町)
kango

あいレディースクリニック(沖縄市)
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実は貴重な光景だった!今では新たに扱うことができない、古きよき時代の”花ブロック”

さらに、街で何気なく見かけている壁や塀の装飾などの”花ブロック”のなかには、建築基準法の解釈などにより今では新たな製造・使用ができない古い型もあるんですって。


  • 4つのパーツを用いて円を作るタイプ。現代の”花ブロック”の主流の用途となっているカーテンウォールの先駆けとなったデザイン。


  • 塀の装飾として多く使われているのがこちら。古きよき沖縄を感じるノスタルジックな雰囲気がなんだか心地よいですよね。

”花ブロック”マニア垂涎!ありったけ見せます!花型ギャラリー

山内コンの安里さんによると創業当時、デザインが3~4種類しかなかった“花ブロック”は、今ではなんと、100種類近くも増えているのだとか!お客様からのリクエストでほぼオリジナルの型が増えてきて今に至るのだそう。今回は、山内コンさんのカタログに掲載されているものを一挙にご紹介!

えっ、そうなの!?これは”花ブロック”じゃないんだ (驚)!

ちなみに”花ブロック”を使った外観だと「国立劇場おきなわ」や「沖縄県立博物館・美術館」を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、山内コンの安里さんによると「これらは“プレキャスト”と呼ばれ、ブロックを積み上げた工法ではないため“花ブロック”ではないんですよ」 とのこと。へぇ~!!

注目の”花ブロック” 、ただいま県外に進出中!

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  • 沖縄生まれの建築資材“花ブロック”は、今、見た目の美しさや機能性が見直され、積極的にデザインとして取り入れている建築士も増えているのだそう。その人気はいまや県内だけに留まらず、県外からも引き合いが増えているとか。
    有名なスポットだと「東京スカイツリー」や「渋谷ヒカリエ」などの商業施設の一部でも使われているのだとか!そのほかにも、他府県のマンションにも取り入れられたりしているそうです。県外でもいろいろ“花ブロック”が見られるんですね。なんだか誇らしい~!

    沖縄県内だと、56体のシーサーがいることでも知られる「名護市庁舎」や、ぬちまーすの工場見学ができる「ぬちうなー観光精塩ファクトリー」など、公共施設や観光施設なども有名ですね。

知っているようであまり知られていない沖縄生まれの“花ブロック” のおはなしは、いかがでしたか?あなたのすぐ周りにもレアな型があったりして!
近所の古い建物やマンションのデザイン、やんばる、離島に行く際などには、みぃぐるぐるーして“花ブロック”を見つけてみてね。

 


※参考文献  磯部直希 著 仲座久雄と「花ブロック」. ―戦後沖縄にみる建築と工芸―

取材協力
山内コンクリートブロック
あいレディースクリニック