2016.07.06

一度着たら病みつきに?ウチナーンチュの新定番ウェア「ぽろゆし」の開発秘話と沖縄の若者へのメッセージ


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ユニークなデザインTで一世風靡した沖縄・北谷のアパレルブランド「habubox」。彼らが提案する「ぽろゆし」とは、沖縄らしいモチーフを全体に配置して縫製したポロシャツのこと。2010年に「月桃」と「アカバナー」をモチーフにした柄が第1弾として産声をあげました。

初めはシンプルな単色カラーでスタートしましたが、翌年にはカラーのぽろゆしが誕生。年を追うごとに彩り豊かな「ぽろゆし」が増え続けています。そんな「ぽろゆし」は、沖縄のカジュアル・ビジネス
シーンに新たな風を巻き起こしています。

今回は、「ぽろゆし」を開発したhabuboxのアートディレクター・名嘉太一(なか・たいち)さんに、誕生からその魅力までを伺って来ました。

 

なぜ「ぽろゆし」が生まれたのか?

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名嘉:Tシャツブランドとして知られているhabuboxですが、フォーマルシーンで着られるウェアが自社の中になかった、というのがはじまりです。自分たちと同じ世代が働くときに動きやすく、「パーティーなどでカッコ良く着こなせる」「ラフにも着こなせる」。そんな「新しい何か」が欲しかったんです。

そう考えていた頃(2010年頃)に、沖縄でポロシャツブームがあり、1ユーザーとして「そういえば、面白いポロシャツってあまりないよな~」と思ったのがアイデアのヒントになりました。『ならば、沖縄らしいモチーフを贅沢に全体にデザインしたポロシャツをつくってみよう!』 そこから試行錯誤を重ねて生まれたのが「ぽろゆし」なんです。

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「ぽろゆし」という名前は、どういう意味?

名嘉:記憶に残るブランド名にしたかったのですが、鹿の子生地のポロシャツと、「なんとなくよい」という意味を持たせた『微吉(ほろよし)』という造語を、沖縄風にアレンジして「ぽろゆし」と名付けました。もちろんポロシャツの”ぽろ”と掛けてわかりやすくし、あまりフォーマルになり過ぎず「カジュアル」「気軽さ」を表現しています。

最初は「ポロゆし」として商標申請をしたら、カタカナの「ポロ」が、某有名ブランドが既に取得しているため使えないことが判明し、それなら、と平仮名で登録しました(笑)。あとになって思えば、平仮名の方が認知されやすく、親しみやすさもあって良かったのかなと思っています。

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ーぽろゆしの5つの魅力

①社内デザイナーが「新しい沖縄生まれのフォーマル・カジュアルウェア」としてぽろゆしに誇りをもち、デザインを真心込めて手掛けている。

②通気性、速乾性に優れ、型くずれしづらく、アイロン不要という良いとこづくし。手間暇入らずで主婦の味方、忙しい共働き家族のお助け役♪

③ビジネスのフォーマルウェアとしてもプライベートな時間を過ごすカジュアルウェアとしても、ON/OFF問わず着こなせる。

④伸縮性のある鹿の子生地(ニットジャージー素材)を使ったフォーマルウェアは世界でも「ぽろゆし」だけ! ある意味文化の最先端ウェアといえる

⑤社会人よくあるある「被り問題(フォーマルウェア着用の集まりで上司と同じ柄になってしまう問題)」も他社のシャツユニフォームに比べて比較的被りにくい!

 

名嘉さんが生み出した「ぽろゆし」への想い

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名嘉:沖縄を代表する衣服として、世界に通用する「ぽろゆし」にしていきたい。そして、自分も含めて誇りを持って着ていける「ぽろゆし」でありたいと考えています。まだまだ、ぽろゆしの歴史は浅く、だからこそ進化の余地は無限です。常に新しいものを考え、生み出し、ぽろゆしを「みんなに愛される沖縄発のウェア」として成長してもらいたいです。

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ーファミマガを読む若者たちへのメッセージをお願いします

名嘉:今の沖縄は自分の若い頃よりも情報や流通、いろんなことが発達して便利になっていると感じます。ある意味「いい沖縄」「豊かな沖縄」でぼくらは暮らしています。でも、ここで満足せずに是非沖縄の外に飛び出してほしい。そこから「日本から見た沖縄」「世界から見た沖縄」を体感してほしいです。

私も高校を卒業してから2年のあいだ東京で暮らしていました。当時の東京で見かける服装はグレートーンが多く、色彩がないように感じました。沖縄では当たり前のように着ていた花柄のシャツやA&Wのロゴ入りキャップは、東京では浮いてしまう。でも、沖縄から届く手紙には当たり前のようにアロハシャツを着る友人の写真が入っている。その南国感溢れるギラギラした眩しさに、”逆カルチャーショック”を受けました。

日常から離れることで、気づかなかったことや見えてくることに沢山出会えると思います。今でも、ぽろゆしやTシャツの販売会で県外に赴くと様々な人とのコミュニケーションをする機会があります。そこで見聞きしたことが色々なアイディアに発展していきます。「ありそうでない物を創りたい」そんな気持ちを強く持ち続けている人は、外での出会いや経験がチカラになり形になっていきます。だから、若者はどんどん外に飛び出そう!

 

名嘉太一プロフィール

1975年宜野湾市生まれ。アートディレクター。株式会社プロジェクト・コア専務取締役。Tシャツ、印花布(藍染め)を使った衣類・雑貨、ガラス製品など、オリジナル製品企画・プロダクトデザインを主に、ブランドロゴデザインやパッケージデザインなど幅広くてがけている。AKARAギャラリーの企画・デザインプランニング、オリジナルブランドのディレクション担当。直営店であるHabu Boxの出店や商品企画のほか『ぽろゆし』『カラビサソックス』『LEQUIOSIAN:レキオシアン』の企画デザイン。TATAMIとのコラボレーションなどを手がける。


取材協力
habubox
住所:北谷町美浜9-20 AKARA内
[電話]098-936-8239
[営業時間]11:00 ~ 21:00

 

ライター:monobox株式会社(河野哲昌・こずえ)
HP:http://www.monobox.jp/