NEW 2017.08.08

Bリーグ第2シーズン開幕まで待てない!キングスOBが語る前シーズン、そして新生キングスの今後は…?合い言葉はやっぱり“GO!KINGS!”


Bリーグのシーズンオフの期間、次シーズンが待ちきれないブースターの心情が、SNSでは”キングス・ロス”等とつぶやかれていますね。

Bリーグ初年度は、キングスにとってもチーム発足10年目であり、まさに節目の年となりました。強豪ひしめく中で苦戦を強いられ、耐えに耐えて迎えたホーム最終戦。プレーオフ進出を賭けた大阪との戦いで、最大20点差を覆した劇的な勝利は、私たちの脳裏に深く刻まれています。

キングスは、今、未来を見据え次のステージに進むため、大改革を実施。きっと断腸の思いがあったであろうその決断に、私たちはプロの世界の厳しさを教えられた気がします。その印象的なシーズンについて、そして、これからのキングスについて――週刊ファミマガでは、シリーズ企画として取材していきます。

まずは、キングスOB、沖縄のバスケファンの想いをよく知る山城吉超さん小菅直人さんに語り合ってもらいました!懐かしいですね。ちなみに、どっちが先輩にみえます?(笑)

山城 吉超(やましろ よしき)
山城 吉超(やましろ よしき)

1984年生まれ、久米島町出身。2007年、チーム創設時に琉球ゴールデンキングスに入団。身長189センチ体重105キロのフォワードとして活躍。2008-09、2011-12、2013-14の3シーズンでbjリーグのチーム優勝を経験。2014年シーズン終了後、現役を引退した。

小菅 直人(こすげ なおと)
小菅 直人(こすげ なおと)

1982年生まれ、新潟県柏崎市出身。2004年新潟アルビレックスBBに入団し、2005年のbjリーグ発足時からプロとしてプレーする。2010年琉球ゴールデンキングスに移籍。6年間在籍し、キングスで3度チーム優勝を経験。2016年bjリーグ終了と共に引退を発表した。

―まず、現在のお二人ですが、山城さんは今日の対談場所「スポーツバーEN」を経営されていて、キングスの試合のテレビ解説や、新聞のコメント取材なども受けられていますよね。バスケットボールをプレーする機会もありますか?

山城さん山城さん
たまに子どもたちの指導をするぐらいですね。お店の方が中心です。一回クーラーの中に入ったらもう出られません(笑)。

―昨年引退された小菅さんも、那覇で和食のお店を始められたんですよね。

小菅さん小菅さん
昨年12月に「酒処色珠(さけどころいろみ)」というお店をオープンしました。僕は出身が新潟なので、新潟のお酒と食材を中心にした和食屋です。バスケットに携わる仕事をしたいという思いもあるんですが、飲食業は以前から興味があったので、引退した機会に、まずはやりたいことをやってみようと。

リーグ全体のレベルが上がった中で、決定力の違いが大きかった

―バスケットボールの男子リーグが統合されてBリーグが発足しましたが、新リーグ1年目の印象はいかがでしたか。これまでのbjリーグ、NBL(ナショナルバスケットボールリーグ)との違いをお二人はどう感じましたか?

小菅さん小菅さん
全体のレベルが少なからず上がったとは感じました。ただ、結果的には元NBLのチームと元bjリーグのチームは差が出ていたという感じですね。
山城さん山城さん
でも、やっぱり始まりだし。今回(シーズン後)の入れ替わりで、これからどんどん面白くなりそうだなあと思います。

―キングスは昨シーズン中盤まで苦戦が続いていました。その理由をお二人はどう見ていましたか?

小菅さん小菅さん
bjリーグ時代にできていたことをさせてもらえてなかった、という印象ですね。やりたいことをできてなかったから、自分たちの中でもリズムが崩れていた。シーズン後半になってやっと対応の仕方がわかってきて、けっこういいゲームができていたと思います。やっぱり、元NBLチームの選手の方が体の強さや高さがあるので、今までと違う感覚になってたんじゃないかな。
山城さん山城さん
苦戦したチームとは、決定力の違いが大きかったと思います。強いチームは、やっぱりチーム全体でゴールを狙ってくるし、チームでゴールを守る。ひとつのスクリーン(※攻撃の時に自分の体を壁にしてディフェンスの進路をふさぐ動作)でもしっかりかけて次のプレーに行く、ひとつのシュートでもきっちりノーマークを作って打たせるという風に、ゴールを決める力の違いが大きかった。

―そうした体格差や決定力の差がある中、シーズン終盤いいゲームができるようになっていたのは、伊佐勉ヘッドコーチ(HC)が昨シーズンずっと目指していた「人もボールも動くバスケ」、「高さの不利をわかった上で、平面で勝負する」というバスケができた結果のように思うんですが。

小菅さん小菅さん
そうですね。昨シーズンのチームに関しては、外からのシュート(スリーポイント)が入らない時はすごく厳しい試合が続いていたので、そういうシュートまで上手く持って行けるようにできたかどうかがポイントだったかな。

―シュートまでのパス回しやボール運びがより重要になっていた中で、昨シーズン、ポイントになった選手や苦労してるんじゃないかなと感じた選手はいました?

山城さん山城さん
やっぱり、マック(アンソニー・マクヘンリー選手)シゲ(金城茂之選手)じゃないですか。対戦相手のパターンやチームの戦術が変化している中でアジャストしていかないといけない役割だった。特に、シゲが一番大変だったかなあと思います。
小菅さん小菅さん
僕も同じですね。去年のキングスではやっぱりシゲがムーさん(=伊佐勉HC)に言われたことを表現して、チームの潤滑剤になろうとしてたと思います。シュートを打てる状況を作ってるのが、シゲやマックだった。

―では、昨シーズンで一番、成長や変化を感じた選手は?

山城さん山城さん
山内(盛久選手 ※来期からサンロッカーズ渋谷へ移籍)じゃないですか。我慢できる選手になったというか。オフェンスよりもディフェンスで流れを変えていけるようになった。
小菅さん小菅さん
僕は、津山(尚大選手 ※21歳の若手選手。高校卒業前の2015年からキングスに所属)ですかね。一緒にやってた頃は、まだどっか遠慮というか、周りを気にしながらやってたようなところがあったんですけど、去年途中から思い切りよく攻めるようになったし、「ここで打つか!?」っていうような意外なタイミングでシュートを打つ、彼ならではの良さが出てきた。プラス、少しディフェンスもできるようになったかな。
山城さん山城さん
酒飲める年になったから、大人になって変わったんじゃない(笑)。
小菅さん小菅さん
(笑)。体は元々強かったので、それを生かさない手はないし、もっと自分からゴツゴツ当たりに行ってほしいなとは思いますね。

ここまで変わって強くならなかったらメーゴーサー(笑)

―シーズン後半にはチームの調子も上がり、大阪エヴェッサとの最後の2連戦で劇的な逆転勝利を果たしてプレーオフに進出し、ファンも大いに盛り上がり、感動しました。そんな中、シーズンオフに入ってこれまでチームをひっぱってきた伊佐勉HCの退任と多くの選手の移籍が発表されて、かなり動揺したファンも多かったと思います。伊佐HCがキングスを退団すると聞いた時、お二人は率直にどんな風に感じられましたか。

小菅さん小菅さん
びっくりしました。プロの世界は、毎年毎年が勝負なので仕方ない……という部分もありますけども、自分としては、もっとキングスでムーさんのバスケを見たかったという気持ちはありましたね。
山城さん山城さん
ブースター(※熱狂的なファン)のみなさんのショックも大きかったと思います。でも、やっぱりキングスとしてはみんなの期待に応え続ける強いチームであり続けないといけないからこそ、こういう決断に至ったというか。だから、ムーさんだけじゃなく、7~8名の選手が替わったわけで。ここまで変わって来シーズン強くなかったらもう、みんなでメーゴーサー(※ウチナーンチュの愛のげんこつ)しないといけない(笑)。

―ちなみに、退団が決まられてから伊佐さんとお話される機会はあったんですか。

山城さん山城さん
シーズン終わってすぐの頃に一度、一緒に飲んで。まあ、いろいろシーズン振り返っての話をしたり、今後の話をしたりしましたね。結局、移籍が(サンロッカーズ)渋谷のACに決まったというのは後から聞いたんですけど、きっと、寂しいからモリヒサ(山内選手)も連れてったんだろうなあ~と思いました。興南の後輩だし(笑)。9月に行われるホーム開催の渋谷サンロッカーズとの開幕戦は、絶対わざと対戦スケジュール組んでますね(笑)。シーズン始まったら東京の沖縄料理屋でゴーヤー食いながら2人で話してるだろうなって想像してます。
あと、山内は電車の乗り方わからないと思うので心配です(笑)。

マクヘンリー選手は「オキナワン」

―それと、今回大きな入れ替わりの中で、マクヘンリー選手の退団というのもファンにとってはかなりショックで、やはり、「マックは引退するまでずっとキングスにいてほしかった」という声は大きかったわけですが。

小菅さん小菅さん
僕も、びっくりしましたね。前に話した時は彼自身「引退するまで沖縄で頑張りたい」と言ってたし、そうであって欲しいと思っていたので。僕が現役だったときもいろいろな形で気を遣ってコミュニケーションとってくれたところがあって。
外国人選手ってどうしても外国人選手だけで固まる傾向があるんですけど、マックは日本人の間にも入ってくるし、外国人と日本人の間に入って、コートの中でも外でもチームの輪をしっかり作ってくれる存在でしたね。だから、友達でもあり、年下だけどいいリーダーでもあるという。
山城さん山城さん
彼も自分で自分のことを『オキナワン』ていうぐらい、沖縄が好きだし、キングスのためにジェフ(・ニュートン)と一緒に長年やってきてくれた。だから、ブースターのみなさんもやっぱり衝撃だったと思います。ある意味ムーさんが退団するより衝撃だったっていう人もいるんじゃないですかね。

―だから、キングスファンとしては彼が沖縄を離れる前にセレモニーをして感謝を伝えたいという気持ちもあって、それができなかった寂しさもあるんですよね。

山城さん山城さん
でも、信州(ブレイブウォリア―ズ ※Bリーグ2部)に移籍が決まって、本人もまだやりきってないから、今さよなら言われてもっていう感じじゃないですか。

―そうですよね。だから、沖縄で引退して欲しかったという気持ちの反面、現役を続けて信州へ移籍が決まったのはファンとしてうれしい気持ちもあり、「沖縄から長野に応援に行こう!」っていう声もあがっていて、そのへんは沖縄のブースターのいいところなんじゃないかなと思います。

山城さん山城さん
最近うちのお店に来てたお客さんも6~7名で、もあい(※模合。幾人かで集まり、お金をプールし、毎回誰かが持ち帰る会合。本土でいう頼母子講・無尽講)で長野行って、みんなでマック応援して蕎麦食ってこようって言ってましたよ(笑)。

沖縄の選手たちが高いレベルでやれる可能性は高い

―ところで、Bリーグになったことで日本のバスケ界自体も大きく変化する時代を迎えていると思うんですが、背の高さやスキルの高さがより求められていく中で、割合小柄な選手も多く、独特なスタイルだと言われることも多い沖縄出身の選手のこれからの可能性についてはどう思われますか?

山城さん山城さん
その辺は沖縄出身より外から見た人のほうがわかるんじゃないですか?
小菅さん小菅さん
そうですね、印象としては沖縄のバスケは見ていて面白い。中学生や高校生の試合でも見ていて面白いというのはあります。ドリブルやパスのタイミングのリズム感が違うとよくいいますが、自分は大学の後輩にも沖縄出身がいたので、面白いタイミングでパスを出すなっていうのは実感してました。
だから、沖縄以外でもそうなんですけど、基礎の部分をしっかりやっていけば背の高さ関係なしにやれる部分はいくらでもあると思います。ハンドリングがすごく上手で、パスも上手というのは背が高い低いに関係なく、沖縄の選手たちの長所だと思う。そういった意味でもっともっと高いレベルでこれからどんどんやれる可能性はあると思います。あとはシュート力をこれからどんどん上げていけば。
山城さん山城さん
わかりやすいのは並里選手みたいなタイプじゃないですか。外から見る沖縄の選手っていうと。

―今回、ヘッドコーチも選手も大幅に変わったわけですが、キングスがチームとしてスタイルを変革しようという強い意識があったと感じますか?

山城さん山城さん
それは感じますね。だから、まるっきり変わるんじゃないですか。
小菅さん小菅さん
変わると思います。まずヘッドコーチが変わったらバスケット自体も変わりますし、それこそマクヘンリーを始めとして、ずっと続けてきた選手も何名か入れ替わったというのは、また一からという意思表示だと思います。

―古くからのファンからは、今回の大幅な補強は、bjリーグの参入の1年目、最下位だったシーズンの後、桶谷さんがHCに就任して、大阪からジェフ・ニュートンが移籍してきた時を思い出す、という声もありますが。

山城さん山城さん
でも、あの時はジェフとかマックといった外国人選手が入ってきましたけど、沖縄の選手を始めとした日本人選手はあまり大きく変わってなかったんですよ。今回はあの時よりももっと根本的で大きな変化だと思います。

新しいチームで、新しい風が吹く

―根本的な変化を迎えた新生キングスはどんなチームになると予想されますか?

小菅さん小菅さん
西地区では余裕で1位になってもらいたいと思います。移籍してきた選手も継続している選手もそれだけの実力があると思う。特に残ってるメンバーは去年の悔しさもあるはずだから、昨シーズン以上の成績を収めてもらえるんじゃないかなと期待しています。
でも、メンバーが揃っていても、バスケットはやっぱりチームでやるものなので、ひとつのチームとしてどこまで戦っていけるかというところがすごく大事だと思います。いいチームになってもらって、沖縄を元気にしてもらいたいし、沖縄でバスケをやっている子どもたち、中学生高校生の目標にしっかりとなれるようなチーム、選手になってもらいたいと思います。
山城さん山城さん
以下同文です(笑)。でも、まあ、決定力の差は昨シーズンより確実に縮まるだろうし。古川(孝敏)選手(※栃木ブレックスから移籍)とかアイラ・ブラウン選手(※サンロッカーズ渋谷から移籍)とか、いろいろ経験のある選手が、金城や岸本やこれまでの選手をひっぱって底上げしながら、沖縄の色を出しつつ決定力が上がってくれば戦って行けると思います。それで、新しいシーズンが始まれば、新しいチームにまたみんなの気持ちも向いて応援してくれるだろうし、新しい風が吹くんじゃないですかね。

―では、キングス遺伝子が全国に広がり、盛り上がり必至の開幕戦を待つ沖縄のバスケファン、ブースターのみなさんにメッセージをお願いします!

小菅さん小菅さん
今回いろいろキングスのチームも変わりますけど、変わらずチームを応援してもらいたいです。自分のお店もヨシキのお店もありますから、いろんなところでみなさんとキングスの話ができればと思います。これからもよろしくお願いします。
山城さん山城さん
小菅さん小菅さん
GO! KINGS!
強くなかったらみんなでメーゴーサーするぞ!!(笑)

  •  山城吉超さんのお店

    sports bar EN

  • 那覇市久茂地2-12-9 久茂地プラネットビル6F

  • TEL 098-868-2566

  • 月曜定休

  • OPEN 21:30~26:00

  •  小菅直人さんのお店

    酒処 色珠(さけどころ いろみ)

  • 那覇市松山1-7-1 松山ガーデンビル1F

  • TEL 050-5593-4084

  • 日曜定休

  • OPEN 18:00~24:00(L.O 23:00)

  • ※祝日は23時まで(L.O 22:00)


長嶺 陽子

インタビュー:長嶺 陽子 Yoko Nagamine

フリー編集者・ライター
佐賀県出身。東京で十数年間、音楽雑誌出版社に勤務した後、2005年に沖縄移住。以来、沖縄の音楽、文化、食や泡盛についての取材・執筆など、幅広く、ぼちぼちと活動を続けています。そしてそのかたわら、 夫・長嶺哲成とともに那覇市久茂地で泡盛居酒屋『カラカラとちぶぐゎ~』を営んで、泡盛の魅力を伝えるために日々奮闘中。どちらも本業です。
共著に『下地勇/心のうた』(ボーダーインク)、『沖縄のハ・テ・ナ!?』(双葉文庫)など
長嶺陽子の『うちなーじらぁ』日記
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G-KEN

写真:G-KEN

フォトグラファー
93年に沖縄へ移住。
沖縄の音楽シーン・ストリートカルチャー・ランドスケープなどを気持ちの赴くままに撮影し始める。
現在も沖縄を拠点に広告・CDジャケット・アーティスト写真・雑誌などで幅広く活動中。
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