2016.08.31

港川外人住宅の人気店PORTRIVER MARKETに聞く、暮らしを豊かにする沖縄の伝統的な「器」の魅力


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国道58号を那覇から浦添方面へ向かい、NISSANの看板を目印に右折すると、白くて平らな屋根をした四角い箱型の建物がずらりと並んでいます。「アメリカの映画スタジオかしら?」と思わせる雰囲気が漂う浦添市港川エリア。

そこに並ぶ「外人住宅」とよばれる建物は、白い外壁とシンプルでフラットなフォルムが特徴的。かつて米軍基地に勤める関係者やその家族のために建てられました。飲食店や雑貨店がオープンしていて一軒一軒がユニークな装いをした可愛らしい町並みに、ガイドブック片手に観光客が行き交います。そんな、人気エリアに2013年4月にオープンしたのが「PORTRIVER MARKET(ポートリバーマーケット)」。外人住宅をモチーフにしたシンプルなイラストと、スタイリッシュに施された店名のロゴ。鮮やかな紫色した看板が目印です。

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「PORTRIVER MARKET」は沖縄のやちむん、琉球ガラスをメインに、エキゾチックな輸入雑貨や食品、生活雑貨、衣服などバラエティに富んだ品揃えのお店です。例えていうなら「町のお洒落な小さな百貨店」。浦添の小さな百貨店を営む麦島夫妻に、今だからこそ伝えたい魅力的な「沖縄の器」について伺ってきました。

2人を魅了し沖縄に呼び寄せたやちむんなどの工芸品

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ーまず、お二人の沖縄の工芸品との出会いを教えて下さい。

麦島夫妻:僕らが勤めていたセレクトショップ「BEAMS」で読谷山焼(よみたんざんやき)北窯の器を扱いはじめたのが最初の出会いです。もう20年くらい前ですかね。初めて見たときの衝撃はセンセーショナルでした。

それまで、沖縄にも行ったこともなければ、沖縄文化に触れることもなかった。「やちむん」があることすら知らなかったですから。徐々に職場でやちむんブームが広がって身近に沖縄の工芸を見る機会が増えました。そこで「沖縄の器を買いに行ってみたいなぁ」と自然に思うようになりました。

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ー初めて購入したやちむんはなんですか?

麦島夫妻:20年前に買った4寸皿です。今でももちろん使ってます。というか、一番食卓に出てくるかも(笑)。それから、沖縄にやちむんを買うのが目的で旅行するようになったんです。

ー沖縄で、そして浦添でお店を開こうと思ったきっかけは?

麦島夫妻:前々から海の見えるところで暮らしたいと思っていたので、子どもが年長になった時に移住をしようと決めました。日本には素晴らしい陶器があるけれど、やっぱり「やちむんが好き」だったっていうことも決め手かも。店の場所選びについて、最初は赤瓦の古民家を探していたんです。それこそ北部から南部まで時間を掛けて探していたのですが、なかなか縁に恵まれなくて。

そんな時に、自分たちがやりたいことをわかってくれていた不動産屋から「スタイルはぜんぜん違うけど、ひょっとしたらあなたたちにピッタリかもしれない」と紹介してもらったのがこの物件なんです。それまで外人住宅の存在すら知らなかったけど、一目見て「ここだ!」って思いましたね。佇まいはもちろん、立地として空港からのアクセスも良いし58号線も近い。

実際住んでみると、人と人との距離がとても近い町だなって感じました。人が温かいし、なにより地域の子供たちの目がキラキラしているのにビックリしました。自分たちは東京の下町といわれる人づきあいの濃いエリアで暮らしていましたが、ここはその上を行っています(笑)だから、すごく暮らしやすかったです。

観光客はもちろん県民にもやちむんの魅力を伝えるPORTRIVER MARKET

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ーどうしてPORTRIVER MARKETって名前にしたんですか?

麦島夫妻:いくつも考えて候補があったんですが、「人が集まりやすい場所」、「気軽に立ち寄れる昔ながらの商店のイメージ」をコンセプトに考えていたら、自然とこの土地の名前をいれた「港川商店」までようやく定まって、それを英語表記にしました。

ー沖縄の工芸品を扱おうと思ったきっかけは?そしてお客さんの反応は?

麦島夫妻:長年、沖縄のやちむんや、わらびで編んだ籠などを愛用していたこともあって、なにより大好きだったから自分たちが扱うしかないって思っていました。

このお店に来るお客さんは、観光客が半分以上を占めているので、やちむんを好んで買っていかれる方が多いですね。7寸皿とか、マカイ(ご飯茶碗)、マグカップが人気です。逆に沖縄の方は購入される方が少ないかなと感じます。

何より驚いたのが、沖縄の方の家庭にやちむんを使ってない家庭が多いということでした。近所の方がふらりと店に立ち寄っても「これ全部沖縄の焼き物ですよ」と説明しないと気がつかない人もいます。逆に若い世代の方で、新しい現代作家さんの器を買いにくる人も最近増えてきています。

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ーやちむんの魅力ってなんですか?

麦島夫妻:今まで色んな焼き物を使ってきたけど、20年間使い続けていられる普遍的なデザインや機能美が備わっているところかな。使ってみるとわかるんですが料理がとても映えるんです。

普通の焼きそばを作って盛りつけただけなのに美味しそうに見える。食卓を華やかにさせる独特の魅力がやちむんにはあるんです。今までは飛行機に乗って買いにきていたやちむんが気軽に手に入れられるので、凄くわくわくしています。沖縄で暮らしている人たちにも率先して使ってほしいと思います。

ーやちむんの他にどんなものを扱っていますか?

麦島夫妻:リサイクルガラスを再生して作られた「琉球ガラス」を扱っています。シンプルでありのままの飾らない質感がとても心地よくて、自分が使いたいと思えるものや実際使っているものを扱っています。

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最初の「やちむん」は大きめがオススメ

DSC_6777_1(上段 右3寸、中央4寸、左5寸、下段 右8寸、中央7寸、左6寸)

ー沖縄の器を使ったことがない人たちにオススメな「はじめてのやちむん」を教えて下さい。

麦島夫妻:最初に買うのにオススメは「7寸、8寸皿」。1寸は3cmなので、だいたい21センチ~24センチくらいの大きさのものをまず1枚買ってみるといいかもしれません。パスタやカレーなどに使ってみて毎日の食卓がどんなふうに変化していくかみて下さい。「美味しく見えた!」「食事が楽しくなった!」「次になにを作ろう?」「料理が楽しくなった!」……そんな変化を実感出来たなら、きっと次になにを買うか悩んでいるはずです。

一度に沢山を揃える必要なんてありません。まずは一つ、本当に気に入ったものを選ぶのがいいと思います。使っていくうちにだんだんと自分の暮らしにあった器たちになっていきます。

選ぶところからワクワクする感じ、それが器選びのよろこびです。一つひとつ丁寧に作られた手しごとの器は決して手頃とはいえない価格かも知れません。でも20年間飽きることなく、家族みたいに暮らしの中に馴染んでいきます。これは沖縄に住んでいる人の特権だと思います。

最近では、産婦人科で出産を終えた妊婦さんたちにやちむんを取り入れて食事を提供する施設が出来たり、少しずつ地域で工芸品を使うムーブメントも起きているようです。是非、自分の住む島の手しごとに触れてみて下さい。

移り変わりが早い時代だからこそ、変わらない魅力を

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ー最後に、ファミマガの読者の皆さんにメッセージをお願いします。

麦島夫妻:暮らしが便利になるに連れて消えてしまうものも多くあります。ファストな時間の流れと変わらず流れる島の時間が行き交う今だからこそ、島の文化を見つめるタイミングかもしれません。現代のライフスタイルに合わないと思われがちなやちむんも、使ってみたらしっくり来ることもあると思います。

自分たちは使いはじめて20年になりますが、暮らす場所やライフスタイルが変化していくなかでも同じ器が食卓を彩ってくれました。変わらない素晴らしさに人は安心するんだと思います。一度、やちむんや工芸をゆっくり見る時間を作ってみて下さい。そして使ってみて下さい。きっと何かにきづくはずです。これからも浦添から、今を暮らす色んな人たちに工芸や雑貨の出会いの場を提供していきたいと考えています。使い方や選び方がわからなければ、気軽に聞いてください。何でもアドバイスしますよ! 


【プロフィール】
麦島哲弥、美樹

長年セレクトショップBEAMSに勤務した後、子どもが小さい時に海の見える場所で子育てがしたいという理由から沖縄へ移住。2013年4月に浦添市港川に誰でも気軽に安心して立ち寄れる地域の商店「PORTRIVER MARKET」をオープン。

【取材協力】
PORTRIVER MARKET
[住所]沖縄県浦添市港川2-15-8#30(MAP)
[電話]098-911-8931
[営業時間]11:00~18:00(月・水・金)、12:30~18:00(火・木・土)
[定休日]日、祝日

 

ライター:monobox株式会社(河野哲昌・こずえ)
HP:http://www.monobox.jp/


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