2016.11.29

沖縄麺ブームの新たな注目株か?まぜ麺・冷麺・じゃじゃ麺、那覇に来たら足を運ぶべき3つの名店


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ハイタイ♪沖縄民謡歌手生活13年目に突入しました、東京出身のKIKOです。沖縄県内ではどこへ行っても沖縄そばが食べられますよね。

そのバリエーションにはスゴイものがあって、麺の違い、ダシ、具、スバジョ~グ~のみなさん、お気に入りのそば屋さんが1軒や2軒ではおさまらないとおもいます。でも沖縄そばに限らず、麺好きの方にはたまらない時代になってきましたよね!

そして沖縄タイムスの記事にもあるとおり、沖縄では過去5年で183店舗ものラーメン屋がオープンするなど沖縄ラーメン業界は近年から盛り上がりを見せています。豚骨やつけ麺系などのお店が中心となりそのブームを引率している中、今新たに注目を集めているのが少し変わり種とも言える麺系のお店。

台湾まぜ麺、冷麺、じゃじゃ麺など普段はなかなか食べる機会のない珍しい麺ジャンル、それぞれを専門にしているお店が、SNSなどを中心として新たに注目を集め始めてきているのです。どちらのお店も小洒落てるのみならず、本土からくるラーメントレンドの流れとは一線を画しているそのオリジナリティ。その美味しさや人気の理由をググッと迫ってみましたよ。


1.オリジナルまぜ麺の人気店マホロバ (mahoroba)

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那覇は国際通り、ホテルJALシティの角を曲がって、素敵なお店が並ぶニューパラダイス通りに向かうと、左手に「まぜ麺」の看板が目に入ります。

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ちょっと道を曲がっただけで国際通りの喧騒が嘘みたい、人の暮らしの息吹が感じられる小道に、自然な佇まいでmahorobaさんはありました。

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あ。オーナーの大谷さんが!(忙しい時間帯にはこうしてお出迎えはしてもらえないとおもいますが笑)

入口から小ざっぱりとした手作り感がおしゃれですが、店内に入っても、小ぢんまりしながらも、スッキリおしゃれです。どことなく文学を感じさせるアートな雰囲気の中、出てくるそばとは??柄の違うそばドンブリが積まれているのを見て、期待が高まります。

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今回いただいたのは代表メニューの「旨辛台湾まぜ麺」(780円)。

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麺が見えないほどのたっぷりのトッピングが美味しそ~ぅ。おかわり自由の味噌汁と付け合せ、それから追いめしも付くから、見た目ですでにコスパ抜群です。これを豪快に混ぜていただくのだそうです。

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食べてみると、モチモチの麺の間にシャキシャキネギとニラがいい感じ!アンダンスーを隠し味に入れているそぼろ肉と玉子の黄身が香味野菜の刺激をやわらげてくれます。

味噌汁の味噌も美味しいせいか、全体的に和風味の印象。魚介の味が強いようでもありますが、四つ足系のダシも使われているとのこと。しかしこの台湾まぜ麺、結構辛めです。

あ「旨辛台湾まぜ麺」ですものね(笑)。通常の「マイルド」でやや唇にキますから、それ以上の辛さを選ぶのは強者におまかせいたしましょう。でも辛さが苦手な人も大丈夫。唐辛子の入らない普通の「まぜ麺」も人気がありますよ。よりマイルドさを求める方には、「まぜ麺焦がしチーズ」もいいかもしれませんね。どのメニューもテッパンで、なんとオープン当初の5年前から同じメニューのままなんですって!

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こだわりの麺は自社工場で作っていて、一般的な麺よりも多くの回数折り重ねてあり、16層になっているそうです。それがもちもち食感とコシの強さの秘密なのでしょう。なんとこの「まぜ麺」実は、ラーメン屋をやろうとしているうちに、ご自分のインスピレーションで作り上げたオリジナルメニューなのだそう(台湾まぜそばは食べたことなかったとか)。

愛知県のご出身で、沖縄で長らく飲食店経験があり、世界放浪の旅に出たあとだからこその発想なのでしょうか。また香味や辛味だけに頼らず、最初の一口から最後の一口まで飽きずにおいしく食べられるのは、大谷さん言うところの「味の調和、普遍性を目指して作った」からだと思えます。

台湾まぜそばが話題になって定着してから2年ほどになりますが、そのブームが追い風となり、mahorobaさんでも2年前くらいからこの汁なし麺スタイルが浸透してきたと感じているそうです。最初は「汁なし麺って好きじゃないんだよねー」と言っていたお客様も、たくさんリピーターとなっていったとか。

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まぜ麺を美味しくいただく終盤、もちもち麺に絡みきらなかったたっぷりの具がどうしても器に残ります。そこで一声かけると追いめしを持ってきてくれます。このシメ的な少なめの白いご飯がまたいいんですよね。具と混ぜて食べきると、幸福な満腹感でいっぱいに。ぜひ試してみてくださいね。

もちもち麺に夢中になって食していましたが、ふと目を上げると、そよ風に揺られるのれんの間から、国際通り路地裏の住宅街が見え、生活のあたたかみを感じてほっこりしました。

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お店の名前「まほろば」とは、古事記の時代からの古い日本語で「いい場所」という意味なんだそうです。想いがこもっているからか、言霊のおかげか、さわやかな素敵なお店です。

まぜ麺 mahoroba ―まほろばー
[住所]那覇市牧志1-2-17(MAP
[電話]098-917-2468
[営業時間]ランチ11:30~14:00(日曜日11:30~15:00)/ディナー17:30~22:00(日曜日17:30〜21:30)
[定休日]火曜日・第3月曜日


2.コシの盛岡冷麺。冬場は温麺もジョートーなchillri

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ここchillri(ちるり)の冷麺は心を捕らえて放さない麺のコシ!食べた先からまたコシを確認したくなり、コラーゲンたっぷりの牛ダシの滑りの良さと相まって、あっという間に平らげてしまいます。

沖縄そばとも、中華麺とも、パスタとも違う、でもやっぱり麺料理。冷麺がこんなに圧倒的な存在だったとは驚きです。冷麺の本場である岩手・盛岡から遠く離れた沖縄で美味しいひと皿を食べられるのは嬉しいことですね。

岩手ご出身のオーナー佐藤さんは、子供の頃から冷麺を食べて親しんでいるそう。冷麺は美味しいので、知らないからと構えずにどんどん食べて欲しいとのこと。

でもウチの冷麺は盛岡で出したら賛否両論だとおもうんですよ」と言う佐藤さん。というのも盛岡冷麺はすでにキムチが入っているのが伝統だけれど、chillriでは独創的な青パパイヤのキムチを別添えにしています。辛さが苦手な人が意外に多い沖縄で、キムチを入れないでもおいしく食べられるように作ってあるのは岩手から離れた場所だからこその味なのです。

とはいえ、盛岡から取り寄せているchillriさんの麺は一度食べたら忘れられない味とコシ。その製麺所にも勤めていた経験がある佐藤さんだからこそのベストチョイスと思えます。

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そのベストチョイスの麺は1番人気の冷麺のみならず、冬はやはり暖かい汁そばをということで、「温麺」(おんめん)にも発揮されています。平麺を使用しているのは珍しいそうですが、モチモチ感をキープしながら、滑らかな暖かいスープとの相性が抜群!ベトナム料理のフォーにも近いような感覚で、別添えのパクチーがまたベストマッチ!

冷麺の太麺(麺種は選べますがお店のイチオシは太麺!)と、温麺の平麺(汁が見えるのが温麺です)。どちらもそれぞれ完成度の高い味で、また食べに来たくなりますよ。

ディナータイムには麺の他にも炭焼き串料理などが加わり、居酒屋さんに変身します。人気メニューはラムパクチー、牛のハラミ、つくP(生のピーマンと一緒に食べるつくね)です。もちろん居酒屋タイムにも、冷麺・温麺もいただけますよ。やっぱり夜も人気店、予約をして行くことをオススメします。 

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お酒の種類も豊富です。味に真剣で少々はにかんだ感じのオーナー佐藤さんですが、夜は楽しく営業したいとのことで、手が空いているときは、ウッディなカウンター越しに興味深い話や、楽しい話ができるかもしれません。 

chillriという店名は英語で「落ち着く・リラックスする」という意味の「chill out」から、「チルりに行く」→「ちるり」となったそうです。佐藤さんからも「チルりに来てくださーい」とメッセージをいただきました。

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またロケーションも面白いんです。当初は、駐車場がない那覇の市場の中でオープンして大丈夫かと心配されたそうですが、逆に迷路みたいでお店への道のりが味とともに思い出になります。浮島通りからの目印は、着物屋の原國商店さんから市場界隈へ入り、えびす通りと交差したら、スグ近くです!楽しみながら探してみてください。

chillri ―ちるりー
[住所]那覇市牧志3-3-14(MAP
[電話]098-943-2611
[営業時間]ランチ12:00~15:00(ラストオーダー14:30)/ディナー18:00~24:00(ラストオーダー23:00)
[定休日]木曜日・毎月最終日曜日


3.ホッコリ琉球じゃじゃ麺をカスタマイズで食す

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ゆいレール美栄橋駅が見える、遊び心満載の山小屋へ来たようなモガメンさんの店内では、ホッコリ笑顔のオーナー茂上さんが迎えてくれました。しかしホッコリ感とは裏腹に、穏やかな口調ながら手際よく、取材にこたえてくれましたよ。

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ー看板メニュー琉球じゃじゃ麺とはそもそもなんですか?

本来うどんで作られる岩手の盛岡じゃじゃ麺をヒントに、具材も肉味噌・キュウリ・ネギだけなのを、沖縄の食材を多くしてなるべく地産地消に近づけるようにしてみました。沖縄に根付いたものをということで、琉球じゃじゃ麺なんです。

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モガメンさんで1番人気のメニュー3種。3品同時にオーダーする方も結構いるそうです。彩りいっぱいお腹いっぱいで合計1280円だから、コスパも良いですね。

写真手前から反時計回りに、まずは「琉球じゃじゃ麺Z」。食べてみて驚いたのが、ジャンク的に刺激的な味なのかと思いきや、意外にあっさりと完食できること。それもそのはず、化学調味料は使わず県産の材料をふんだんに使っているのだそう。栄養バランスも良いですね。

沖縄県産豚ひき肉と久米島&宮古島の味噌、多良間の黒糖、それから数十種類の野菜を煮込んだ肉味噌を麺にからめて食べます。食感や季節のものを大事に色合いも考えて、東風平のオクラと糸満の小松菜、パプリカ、ネギ、大葉、面白いのはさやえんどうのお菓子!食感と味が違和感なくアクセントになって調和するんです。

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これらを麺と良く混ぜて、各種揃っている卓上の調味料を足しながら味の変化を楽しんで、最後は残った具材をチータンスープでいただきます。添えてあるゆし豆腐を入れたり、体調や気分で生姜スープにしてみたり、豆板醤を入れてチゲスープみたいにしたりしてカスタマイズできるので、毎回同じ味にはならないのが面白いですね。

3種の写真向かって右奥はサッパリ食べられると女性に人気の「ジュレぽん茹でギョウザ」。もちもち皮の茹でギョウザに、シークワーサーとポン酢の自家製ジュレをかけていただきます。ツルンと食べやすくてもうひと皿頼んでしまいそうです!

そして残るは「焼きチーズまぜゴハン」。これがまたオイシイ!台湾まぜそばなどで最後に追い飯を入れますが、じゃじゃ麺と同じ肉味噌や共通の具材なので、その感覚と似ています。こちらも良く混ぜてから召し上がれ。

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ースプーンのうえにチーズとサラミとスナック菓子がのっていますね・・・コース料理最初に出てくるアミューズみたい!

見て楽しんでもらうのもテーマなんです。はじめはアミューズのつもりだったんですが、混ぜてしまってあとから出てくる食感を楽しんでもらっても、最初に食べてもいいんです(笑)。お菓子とご飯が一緒に食べられるとお子様にも人気です。 

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お客様には楽しみながら食べて欲しい!自身も食べてる途中に味にアクセントつけたいなとおもう方なので、お客さんが実験するように食べてるのを見るのも楽しいです」と語るオーナー茂上さん。

ゆっくり心地よく食べてもらうための木のぬくもりが感じられる内装や、カフェ飯的な感覚は女性にも優しい。しかし沖縄そばとラーメンの中間をめざしてカスタムオーダーしている麺はより良いものを求めて頻繁に配分を変えてもらっているなど研究にも余念がないようです。

どんな味か想像できないと思うので、気軽に食べにきてください」と最後にメッセージをもらいました。

琉球じゃじゃ麺屋さん モガメン
[住所]那覇市前島1-1-18麻生ビル1F(MAP
[電話] 090-2416-1008
[営業時間]ランチ11:00~15:00(ラストオーダー14:30)/ディナー18:00~23:00(ラストオーダー22:30)
[定休日]水曜日


まぜ麺・冷麺・じゃじゃ麺、3つの新星はラーメンを超えるブームとなるか?

それぞれに魅力ある人気の3軒で、共通してきかれたのが「2年」というキーワード。創業5年のmahorobaさんでは2年前くらいから汁無し麺が定着してきたといいます。chillriの佐藤さんは飲食業を沖縄でやるようになって2年余りで、モガメンさんも今の店舗で丁度2周年を迎えられたのこと。

昔からある伝統の沖縄そば、そして5年ほど前から急増している県内独自のラーメン屋さん。そして、その次なる沖縄の麺トレンドはこの3店が作り出していく可能性も大いに有り得るといえるのではないでしょうか。「沖縄の食」がどんどん進化しているのを感じずにはいられません。あなたも気になるお店などありましたら、ぜひFacebookページへ取材リクエストをお寄せくださいね。



ライター:KIKO(沖縄民謡歌手)
HP:https://www.facebook.com/kikogwa

 

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