2022.09.28

【保存版】沖縄2024年の旧盆!ウンケー・中日・ウークイの準備と拝み方


※編集部追記(2022/09/28)情報を追記・編集しました。

沖縄で旧盆といえば、とても大切な年中行事のひとつ。
旧盆は旧暦7月13日~15日の3日間(※4日間の地域もあります)で行うのが一般的で、2024年は「8月16日(金)~18日(日)」が旧盆にあたります。

そこで前回の清明祭(シーミー)に引き続き、沖縄南部の漁師町で暮らす濱比嘉珠子(はまひがたまこ)が、沖縄の旧盆の準備と拝み方をお伝えします。

どうぞ、よろしくお願いします♪

 

1. 沖縄の旧盆(2024年はいつ?)

地域によって7月15日とする新盆や変わり盆など、さまざまな日取りがありますが、全国的には東京都をはじめ、8月15日を中心に前後3日・4日間ほどを「お盆」とするのが一般的ですよね。

けれども旧暦行事が今も色濃く残る沖縄では、旧暦7月13日~15日の3日間で行います。

2024年の旧盆は、8月16日(金)~18日(日)!

それでは、沖縄の旧盆を初日から順を追ってお伝えしていきます。

 

2. 沖縄の旧盆準備

旧暦7月13日は、ご先祖様をお迎えする「ウンケー(お迎え)」です。

お迎え自体は夕方に行うので、この日は朝からお迎えの準備をしていきます。

まずお仏壇や仏具のお掃除ですが、ひと通り乾拭きをすることでお清めは完了♪
上の絵を参考に、左右対称にお供えを揃えていきます。

ウンケーのウサギムン(お供え物)

 

(1) 日ごろからのウサギムン … 日ごろから供えている「3点セット」はそのままです。
・ウチャトゥ(お茶)
・ミジトゥ(お水)
・ウサク(お酒)

(2) ナイムン(果物類) … 沖縄の旧盆は果物盛りだくさん♪
・果物の盛り合わせ盆 … リンゴやバナナ、みかんなど7個を左右2盆に盛り供えます。
・まるまる一個の大きなスイカやパイナップルなど … ガンシナと呼ばれる小さな縄の輪っかの上に乗せてください。

(3) ウージ(さとうきび)
・グーサンウージ … 7節分の長いさとうきびを2本ずつ、お仏壇の左右両脇に立て掛けます。グーサンウージはウージ(さとうきび)の杖で、ご先祖様の杖です。
・ウージ … さとうきびは2節だけの短いものを7本束ねたウージも、左右対称2束分用意します。今ではきび農家もすっかり少なくなりましたが、豊作への感謝です。

(4) ウンケーダーグ(団子) … 白玉粉や餅粉などで白いお団子を作り、ひと皿に7個ずつ、左右対称2皿を供えます。

(5) お供え膳 … ウンケーのお供え膳と言えば「ウンケージューシー」ですよね。
・ウンケージューシー … お馴染み沖縄のジューシーですが、ここではチガリムン(魑魅魍魎)避けに香りの強いショウガなどを入れるのが特徴です。
・ウサチ(酢の物) … 箸休めの副菜を添えます。酢の物が定番です。
・ソーローメーシー(メドハギ) … お箸代わりに2本を添えてください。
・葉付きショウガ … 邪気払いと共に家族の繁栄を表します。

(6) ミンヌク(水の子) … ご先祖様に付いてきたゆかりのない無縁仏へ出すお供えです。
糸満では7つの団子と7握りの白ご飯、ガンシナ7対を葉に乗せますが、料理中に出た野菜の切れ端などの地域も多いです。

沖縄の旧盆ではお供えが全て左右対称、2個を1対として供えますが、ミンヌクだけは1盆のみ、お仏壇の近くにそっと置くだけです。(左下が多いのではないでしょうか。)

ソーローハーシやお供え膳は、迎えるご先祖様がおひとりならひとつずつ、何人もいらっしゃるなら複数用意します。

 

3. 初日のウンケー、ご先祖様を迎えよう!

お迎えをする前に、玄関先に旅路で汚れたご先祖様の足元を払うホウキ、「ソーローホーチ(精霊箒)」を玄関先にバケツに立て掛けて置いてください。メドハギを束ねてホウキ状にします。

日が暮れかかる夕方になったら、いよいよウンケーです!家の門にみなで集まり、ご先祖様を迎えてください。

ウンケーの進め方

(1) ウンケーの道具を準備する
・提灯 … 左右に2灯の1対
・カビバーチ … ウチカビを焚く時に使用する火鉢
・ウチカビ … あの世のお金
・ヒラウコー … 平線香(沖縄の6本くっついたお線香)
・ロウソク … 迎え火となるトゥブシ(たいまつ)の代わりなので、大きく消えにくいものを用意します。(風が強いと難儀しますよ~♪)

(2) ウジューヌカミ(錠の神)へ報告!
続いて、門の神様であるウジューヌカミに今日がウンケーであること、これからご先祖様をお迎えすることをお伝えしてください。
門の両脇にロウソク、門の中央にヒラウコーをタヒラ(2枚)拝して報告します。

(3) ご先祖様をお家へ迎える
続いてご先祖様に、今日がウークイの日であること、子孫があつまっておもてなしをすることを伝えます。
それから、門前で供えたヒラウコーを、「チネーサンムトゥカイ、アンネーサビラ(家まで案内しますね)」とお伝えしながら移動し、お仏壇のウコールに拝するとお迎えです。ロウソクも一緒にお仏壇まで運んでください。
(ただ家や地域によっては、門前のヒラウコーはそのまま、お仏壇で改めてヒラウコーを拝する風習もあるようです。)

(4) お仏前に報告
お仏壇では「今日から3日間、真心を込めておもてなしをいたしますので、どうぞお受け取りください。」とお伝えして拝みます。
・お仏壇でのヒラウコー … まず家長がタヒラ(2枚)を拝しながらご先祖様に報告し、続いて家族がそれぞれ半ヒラ(ヒラウコー半分・日本線香3本分)です。
家族がヒラウコーを拝する時には、それぞれ「〇〇からです。」と名前を行って供える方が伝わりやすいとされています。

 

4. 中日のナカビ(ナカヌヒー)、ご先祖様とくつろごう!

ナカビは親族がムチスク(お仏壇のある宗家)に集まる日。ムチスクには1,000円~2,000円ほどの手土産を持って訪れます。

親族はムチスクを訪れたら、最初にお仏壇に名前を伝えてご報告し、仏前に手土産を供えますが、この時、手土産の上にはウチカビを乗せる風習がある家も多いです。

この日は、今の沖縄では旧盆だからと気張らずに、イチミ(生身)の食事を一緒に出す家庭が多いのではないでしょうか。ただ、昔ながらの風習では、下記のようなお食事を出すことが多いです。

ナカビのウサギムン(お供え物)

・ヒティミティムン(朝食) … ご飯・汁物・ウサチ(酢の物)のお膳です。汁物はアーサや豆腐など、ウサチはモーウィなども多く見受けます。

・アサバン(昼食) … ソーミン汁!
(糸満では芋をふかして輪切りにした副菜を添えます。ターンム(田芋)やチンヌク(里芋)が理想的ですが、最近ではさつま芋を供える家庭が増えました。)

・マドゥヌムン(3時のおやつ) … 沖縄ぜんざいやあまがしなど。

・ユウバン(夕食) … ご飯とみそ汁、煮もののお膳です。

これはナカビに限ったことではないのですが、お供え物を拝する時には、ヒラウコーをタヒラ(2枚)拝して、「ご先祖様、昼食をお供えしますので、受け取ってください。」とひと言添えてください。

※ 昔ながらの言葉では、「○○○○(アサバンなど)、ウサギトゥーイビン、ウキトゥイジュラスァ、ウタビミスーリー」などとなります。

 

5. 最終日のウークイ、ご先祖様をお見送り

そして、最終日のウークイ。ご先祖様を囲んでウサンミ(御三味・重箱料理のこと)を楽しんだ後、集まった皆でお見送りをする日です。

ですから、ウサギムン(お供え物)はほとんどウンケーと同じですが、ウサンミが加わります。上のイラストを参考にしながら、下記のウサギムンを用意してください。

ウークイのウサギムン(お供え物)

(1) 日ごろからのウサギムン(お供え物)
・ウチャトゥ(お茶)
・ミジトゥ(水)
・ウサク(お酒)
・供え花

(2) ウンケーからのウサギムン(お供え物)
・グーサンウージ(さとうきびの杖)や、ウージ(さとうきび)
・ナイムン(果物)果物の盛り合わせ盆や、ガンシナに乗ったスイカやパイナップル
・ミンヌク(水の子)

(3) ウークイのウサギムン(お供え物)
・ウサンミ(御三味・重箱料理)をチュクン(お餅重2重とおかず重2重の4重)

お仏前にウサンミをお供えする時には、上記のイラストのように仏壇側は向かって左側がおかず重箱、右側がお餅重となり、お仏壇側にお箸とウチカビを添えます。手前はイチミ(生身)側として、向かって右側がおかず重、左側がお餅重となるように配置してください。

 

6. ウークイの進め方

ウンケーは夕方早々にご先祖様をお迎えしますが、ウークイは「ウンケーヤーヘーベトゥー(お迎えは早いうちに)、ウークイヤーヨンナー(お見送りはゆっくり)」と言われ、ご先祖様と宴を楽しんだ夜遅くに始めます。

ただ、最近では遠くに住んでいる親族も多いこともあり、早々にウークイを始める家庭も増えました。

お仏壇へご報告

ウークイはムチスクの家長がお仏壇に報告する拝みから始まります。

(1) まず、家長はヒラウコーをタヒラ(2枚)拝して、感謝の言葉を伝えてください。
続いて集まった親族がそれぞれに、ヒラウコー半ヒラ(日本線香3本分)を拝します。この時、それぞれに自分の干支と名前を言う家が多いです。

(2) 集まった全員がヒラウコーを拝し終わったら、家長はお仏前でご先祖様に日ごろのお見守りへの感謝と、子孫の繁栄を拝みます。家長が拝んでいる間、残る親族は後ろで手を合わせてください。
※ 家長の拝みの言葉(グイス)は後ほどお伝えします♪

(4) ウサンミからウハチ(お初)を抜きます。
重箱の料理から数品を取り出してひっくり返して乗せてください。(ご先祖様に最初のおかずをお出ししている、と言う意味合いです。)

(5) ウチカビを焚きます。
お仏壇の前にカビバーチ(ウチカビを焚く火鉢)を用意し、最初に家長がウチカビを5枚を焚いた後、お仏壇のお酒を掛けて天へと送ります。その後は関係の深い家族から順番に、ウチカビ3枚を焚いてください。

(6) カビバーチに、下記のお仏壇のウサギムン(お供え物)を入れてウサンデーをします。
・ウハチ(お初)
・ウチャトゥ(お茶)
・供え花
・ソーローハーシ(お箸代わりのメドハギ)
・ミンヌク(水の子)
・ウコールにお線香が残っていれば、これも入れてください。

ウサギムン(お供え物)を取る時にはひと言「ウサンデーサビラ」と断りを入れます。

門前でウークイ(お見送り)

お仏前での拝みが済んだら、続いて門前でのお見送り(ウークイ)です。屋敷の御願で守られている家のなかと違い、門から外はチガリムン(魑魅魍魎)がいると言われます。

そのため門前のお見送りの最初は、ミンヌク(水の子)を撒くのが、昔ながらの風習です♪ただ最近では、掃除の手間を省くために撒かないで門前に置いておく家もあります。

(1) お仏前で作ったウサンデーはご先祖様のお土産となるので、門前に供えます♪
杖となるグーさんウージも門前に立て掛ける家が多いです。

(2) そして家長はヒラウコーをタヒラ(2枚)を拝し、みんなでお見送りです。
・最初は家長がご先祖様に3日間の感謝と、無事のお帰りをお伝えします。
「今年もクワッウマガンチャー(子孫)みんな揃って、ご先祖様におもてなしができました。ありがとうございました。」
「これから家族みんなでお見送りをしますので、道に迷わぬよう、お墓に戻ってください。」
・続いて集まった家族親族がみんなで、お見送りをします。
「またおもてなしをしますので、来年もどうぞいらしてください!」

(3) お見送りをした後のお土産(ウサンデー)は、ご先祖様が持ち帰りやすいよう、クワズイモの葉に包みます。クワズイモの葉が手に入りにくい時にはアルミホイルでも大丈夫です。
 そのまま翌日まで門前に置くのが昔ながらの風習ですが、今ではしばらく置いて片付けることが多くなりました。

沖縄の旧盆ではウークイ(お見送り)後は後ろ髪を引かれるとして、その日のうちに片づけをしてしまいます。これで沖縄の旧盆行事は無事に終わりますが、翌日はお仏壇に「お疲れ様でした」と伝えてくださいね♪

 

7. 旧盆に行けない!そんな時は…

沖縄の旧盆に合わせて帰省できない、行けない!そんな方は、お供え物をムチスクに送ってください♪

ムチスクでは「○○○○の分です。」と、代理でご先祖様に名前と干支を伝えてヒラウコーを拝してくれます。

 

8. 試してみよう、拝み言葉

今では沖縄の拝み言葉「グイス」を唱える家庭も少なくなりました。沖縄の旧盆3日間では、お供えや拝みのたびにグイスがありますが、ここでは最終日のウークイでお仏前に拝む際のグイスをお伝えします。

ウートゥートゥー ウヤフジガナシー、
(あな尊き ご先祖様)

チューヤ シチグヮッチヌ ウークイヌヒィ ナトゥイビン、
(今日は7月のお見送りの日になりました)

クワッウマガンチャア ムルスルティ ゲンキニ シチグァッチヌ ウトゥイムチスルティ、ウシジィガフゥディービル。
(子孫みんな揃い、元気におもてなしができ、ありがとうございました)

ムル ムグゥクゥルウサギティー、ウークイスーリビーグトゥニ、
(真心を込めてお供えして、お見送りをしていますので、)

チトゥンダティンムッチメンスーチー、ウキトゥイジュラスァ ウタビミスーリー、
(お土産もたくさん持ってお帰りになり、受け取っていただきますように。)

マタ、ヤーヌンメンスーチー クィミスーリー。
(また、来年もいらしてください。)

ウートゥートゥー。
(なーむー。)