2017.04.24

第2回 食べること、読むこと。|クラフトマン・ジャーニー


BABY BABY HAMBURGER & BOOKSのドアを初めてくぐった時のことを、今も覚えています。

あの、トキメキ。今までなかった!と、なんだか懐かしい!が同時にめくるめき、一瞬で大好きになりました。そしてそれからBABY BABY HAMBURGER & BOOKSに通い始めたわけですが謎は深まるばかり。わりと若いひのさんがひとりでお店を始めたのはなんで?なんで本もたくさん置いているの?そしてなんでこんなにハンバーガーが美味しいの!

連載の第2回は、そんな謎の多いBABY BABY HAMBURGER & BOOKSの店長、ひのさんのひみつを解き明かすべく、お話を聞きに行ってきました。

『んー、こんなにお客さんが来てくれるなんてなあ、もうなくなりそうです。』

折しも、BABY BABY HAMBURGER & BOOKSではフリーマーケットのイベント真っ最中。
いつもよりたくさん仕込んだはずのハンバーガーがもう売り切れ間近でした。
お肉を買い足したら?と提案してみたものの、『パティーはすぐには作れないんです。』とのこと。
ひのさんのハンバーガーは、牛肉と国産和牛の牛脂、自家製のベーコンを練り込んだパティをつかっています。なるほどそうか、と、パティーなしのハンバーガーを作ってもらいました。だけどそれも美味しい!バンズも自家製で、ふっくら香り高く、お野菜のシャキシャキとよく引き立てあっています。

なぜハンバーガーをつくり始めたのですか?と聞いてみたところ、ひのさんは『ハンバーガーが好きだから、かな』しごく当然の答えを返してくれたあと、『子どもの頃から、あまりまともに美味しいものを食べたことがなかったんですよ』と話し始めました。


パンの耳をもらったり、料理という料理で育って来なかった、と言うひのさん。
京都の大学に進学してからも、ご飯と納豆、いい日はキムチがあるかも、という食生活を送っていたそうです。そんなひのさんに大学の先生が、そんなことをしていては本当に良くない。お金がなくても月に1回でいいからなにかちゃんと美味しいものを食べなさい、と諭してきました。


『それでも千円ぐらいしかないから。それで食べられる精一杯の美味しいものがハンバーガーだったんです。』そこからは月にいちど色々な店に行ってはハンバーガーを食べ歩くことを始めました。自分の中では、ハンバーガーが究極の贅沢品だった、とひのさん。

その先生のことばがなければ、すごく人間としてダメになっていたと思う、と言います。なるほどそうか、だからひのさんのハンバーガーにはこんなに愛があふれているのか。

ひとつの謎が少しだけ解明され、ここでもうひとつ疑問が。「&books」の部分です。

わたしの知る限りでは、ハンバーガーがメインのお店で本をここまで推しているところはいままでに見たことがありません。『フライドポテトは出さない。だって本が汚れるでしょ。』そこまでして本を置きたいのは、なぜなのでしょう。

『むかしから本が好きでした。授業中も、授業を聞かず図書室で借りた本を読んでいました。』
ひのさんの本好きは幼少期に遡ります。お母さんが寝るときに本の読み聞かせをしてくれていたのだけど、絵本だとすぐに終わってしまう。次第にひのさんは文字が多くて読むのに時間がかかる本を読んでもらうようになります。

楽観的でいられるのは、主人公ってだいたい大丈夫だから。

少しでも、お母さんといっしょにいたかった、というひのさんですが、両親の離婚でお母さんと離ればなれになります。『だけど部屋に、お母さんが残していった本がたくさんあって。ファンタジーが多かった。それをいつも読んでいました。』
本を読んでいる間、いやなことは忘れられた。物語の主人公でいられた。
『今でも、仕事が大変だったり、家賃の支払いで悩まされたり、そういうことがあってもけっきょく楽観的でいられるのは、主人公ってだいたい大丈夫だから。』

ひとりでパンを焼き、パティーを仕込み、お店の切りもりもして、夜まで働いて。
そんなことをこなしていくのは並大抵のことではないと思うのです。

『今はすごく大変。お店の家賃のことで毎月悩ましい。だけど、ぜんぜんお金がなくて、それでもなにか美味しいものが食べたい、そんなひとが来たらなにか絵とか描いてくれたりして、それでいいよって言ってハンバーガー出して。美味しいなあって助かったって言ってもらえるみたいな。そんなことになればなって、憧れています。』

わたしは、そんなひのさんの願いはもう半分くらい叶っちゃってるんじゃないかな、と思います。実際、わたしはひのさんのお店に出会ったとき新しい居場所ができた!ってすごくうれしくなりました。ハンバーガーと、本と。ひのさんを助けたというこのふたつで、ひのさんがお店に来る人たちを救ってくれている気がするのです。

いくつかの謎が解けてハンバーガーを頬張って、ああ美味しい、しかしはてさてまだ謎が多い。お店にずっと流れているヘンテコな音楽、奇妙なトレーディングカードやTシャツなどのグッズたち。なによりひのさんは本名も教えてくれない

まだまだ通い続けて謎を解明しなければいけません。

食への強いこだわりでは、沖縄ファミリーマートも負けませんよ!ともに沖縄を盛り上げていきたいですね。
沖縄ファミリーマートは、ここ沖縄の地で様々な分野で活動されるかたを応援しています。

  • ひのさん
  • ひの
    1990年生まれ。大学卒業後、自身の尊敬するハンバーガーショップで住み込み修行後、ハンバーガーを食べながら本を読んでくつろげるお店、『BABY BABY HAMBURGER & BOOKS』を開店。同店では、アート作品の展示や、ライブイベントも不定期に開催している。

BABY BABY HAMBURGER & BOOKS
〒900-0013 沖縄県那覇市牧志3丁目11-12
tel.080-3952-0416
OPEN/12:00~21:00
CLOSED/火曜日
http://babybabyhamburgerandbooks.com


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みなこ

- minako

画家、アーティスト、2児の母。
2015年6月から7月にかけての約1か月間、フランス・スペインのキリスト教の巡礼路800kmを完歩。『サンティアゴ・デ・コンポステーラ』までの道中の記録を書籍にまとめ、講演等を行う。
[ Instagram ] https://www.instagram.com/minakolope/

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