2018.10.09

結2018インタビューVol.3|発足から 現在に至るまでチームを支え続ける「Mr.キングス」金城茂之選手


いよいよシーズンが開幕し、アウェイで2連勝と早くも勢いにのる我らが琉球ゴールデンキングス。10月12日(金)・13日(土)の大事なホーム戦を前に、ぜひともお読みいただきたい結2018インタビューVol.3をお届けします!

185センチの圧倒される長身とは裏腹に、爽やかな笑顔と高らかな声で穏やかに話す浦添市出身のプロバスケットボール選手。そこには試合中の険しい表情は一切なく、チームとファン思いの優しい姿だけがありました。琉球ゴールデンキングスの発足から唯一在籍し続ける「Mr.キングス」こと、金城茂之選手です。

 

第3弾の結インタビューは、新しい結CMで主役を飾った金城選手に、秋のシーズン開幕戦を迎える琉球ゴールデンキングスへの今年の感触や試合への意気込みを語ってもらいました。

琉球ゴールデンキングスの歴史を最も知り尽くした男・金城茂之選手

Bjリーグ時代、初年度の2007-2008シーズンに最下位からスタートした琉球ゴールデンキングス。しかしその翌年には、奇跡的な優勝を果たしました。桶谷大ヘッドコーチの赴任やジェフ・ニュートン選手の移籍など、好条件が重なったのも優勝に導けた勝因のひとつだったと聞きます。

たった1年で凄まじい成長を遂げたチームでプレイしていた金城茂之選手は、2008-2009シーズンでMIP(Most Impressive Player:最も印象的だった選手)を受賞。しかしチームの主力選手として活躍する最中、2009年12月に全治6ヶ月の大怪我で負傷し、長期に渡る休養を余儀なくされました。再びチームに復帰したとき、金城茂之選手のプレイには大きな変化が現れたのでした。

ゴールデンキングス:金城茂之選手

- 秋のシーズン開幕を迎えて、今年のチームの感触はいかがでしょうか。「今年のキングスはやばい。きっと優勝するよ!」と語る長年のコアなファンもいるようで、今年のキングスは昨年以上に圧倒的な強さを感じるとの噂も聞きました。

金城茂之選手:
どうなんですかね。これから秋のシーズンが始まるので(笑)。確かに今年は全体的にバランスがいいとは思います。それぞれの選手が違う個性を持っていて、試合の終盤で体力的にきつく感じてくる時間帯でも、まだいくつかのコマを持っている。そういった意味では、今年はベストの状態だと思います。でも、昨年はベスト4で終わったので、まだまだ挑戦者の立ち位置ですよね。優勝したら達成感がありますけど、それ以外なら2位も18位も一緒だと思っていて、チーム全体でそういった意識を強く感じますね。

優勝を目指すからには生半可な意識ではない、というのはあります。その中での日々の練習や試合とか、ひとつひとつの過程を大切にしたいと思っています。

- それは優勝だけを狙っている、と。最初から優勝という高い目標を設定して、ひとつひとつの試合にチームが一致団結して挑もうとしてるんですね。そのチームワークの中で最も大切にしてることは何でしょうか。

金城茂之選手:
チームワークでいえば、話し合いというか、思いついたらコートの内外に関わらず積極的にコミュニケーションを取るようにしています。声かけが減ると佐々ヘッドコーチがそこを指摘してくれて、特にディフェンスのとき、声でも守れると。自分のポジションを仲間に知らせる、声の出るチームになってきています。

- 金城選手にとって琉球ゴールデンキングスの面白さとは、どこだと思いますか。

金城茂之選手:
僕はやっぱりオフェンスが好きなので、2名対2名のオフェンスから試合が始まって、どこかでズレが生まれた瞬間からが面白いですね。ズレというのは相手チームの先を行く動きというか、相手チームのオフェンス1名を抜いた時点で、オフェンス5名のキングスに対して相手チームのディフェンスが4名になる。そのときにボールがどう動くのか。どのスペースが空いたらどうメンバーが動いてボールが回っていくのか。そこは経験上からみんな知っているので、どう瞬時に判断してスピーディに動いていくのか、その駆け引きをを楽しんでほしいですね。

- 今年は並里選手がチームに戻ってきましたね。期待してるファンも多いのではないでしょうか。

金城茂之選手:
今年の並里選手が頼もしいですね。以前はスピード重視でがむしゃら感があったけど、今は自分をオトリにして周囲にパスを出すとか、本当に精度が上がっていて。ここには来ないだろう!と思った瞬間、並里がそのスペースに入って来たときはビックリしまた(笑)。自分から動いていく意識を常に持っているし、そういうオーラって自然と出ますから。パスの道筋だけを探してたら相手のディフェンスが怖くなるけど、ディフェンスを破ろうとする意思を持っていて、しっかりと周囲を見て判断しているところもすごいなと。

- さらに掘り下げてお伺いすると、金城さんにとってバスケの面白さとは何だと思いますか。

金城茂之選手:
派手に感じるプレイだと、やはり得点を入れたときが一番面白いんじゃないですかね。ダンクシュートを決めた瞬間とか、ディフェンスがシュートブロックを思いっきり決める場面とか。ある程度、プロバスケの試合を見慣れてきたら、パスの速さを追うと面白いと思います。ゴール近くのペイントエリア(制限区域=オフェンスのプレイヤーが3秒以上とどまると禁止行為となる)までパスが渡ったあと、ゴール周辺に選手が集中してる間にエリア外に一旦ボールを出すと、いろんな方向にパスを回せる。エリアの外で守っていたディフェンスの背後にボールがある状態で、ボールが延々と回り続けていく感じ。あと、並里選手のドリブルだったり、石崎選手の意図的にスピードを遅くして相手を突破できる動きとか。速さだけでなく、遅さも大事っていう感覚は面白いですよね。野球のピッチャーでいうチェンジアップみたいな。

- 遅さを武器にしたプレイ。そのギャップは面白いですね。キングスが初期の頃、金城選手はスピード感とパワーで点を取りに行くスタイルだったんですよね。

金城茂之選手:
そうですね。スピード感あってこその体の当たりも好きで、体当たりした瞬間に相手側のスペースをこじ開けて入り込んだり、ペイントエリア外からシュートを打ったりしてました。

- そのスタイルが大幅に変化したのが、2009年12月に大怪我をしてからの復帰後。ぐんぐんとスタイルが変化して、バスケの IQ が高い、いわゆる頭脳派へと進化していきました。復帰後、どのような心境の変化があったのか伺ってもいいでしょうか。

試合中の写真(琉球ゴールデンキングス公式サイトより)
琉球ゴールデンキングス公式サイトより

金城茂之選手:
まさにターニングポイント…でしたね。復帰後は、まずスピードが出なくなりました。復帰当初はプライドがあったのか、まだまだスピードで勝負できると思う自分がいたんですけど、やっぱり何度も試合に出るうちに段々と自信がなくなって、自分の武器はもう通用しなくなってるんだと気づいたんです。スピードあっての体の当たりだったので、自分の武器を一気にふたつ失って、一時期はすごく悩んだんですよ。どうすればいいのかわからなくなって…。急に自分の武器を失って、試合に出る回数は減っていき、いろいろと見失っていく中でどんどん貪欲さが損なわれていく気がしたんです。

- そうだったのですか…。しかし、つらい時期を経て金城選手は復活しました。しかも新たなプレイスタイルで。今は相手の隙を突く、ある意味計算された頭脳派のプレイですよね。少し悪い言い方をすると、相手側の選手にとっては、やりにくい選手だと嫌がられるようなスタイルなのかなと。

金城茂之選手:
どうなんでしょうかね(笑)。試合に出れるなら何でもやろうと思い直して、そのためにどうすればいいのかを考えて。ベンチにいる時間が増えたこともあって、ベンチで試合を見ながら研究して考えて。当時のチームにはない武器を持とうと思ったんです。相手の視界に入ってない間にカッテイングするとか、パスの分岐点に入っていくとか。純粋に試合に出たいという気持ちから始まったスタイルなんですよね。今はチームのいい脇役になれればいいな、と思っています。

- 今シーズンの試合では、金城選手のどこを見てほしいですか。

金城茂之選手:
相手の選手とのズレが生まれた瞬間から僕の戦いが始まるんですよ。スリーポイントの場面が多くなるんですけど、あとシュートの精度とか。相手チームのディフェンスが動き出したとき、僕も駆け引きしてディフェンスを抜いて突破するのか、それともパスを出すのか。そのあたりの判断や動きを見てもらえたら。

正直にいえば、できるだけ多くの試合に出場するために日々必死にやっているだけで、僕自身がチームに貢献してるとか、何かを達成できてるとは全く思ってないんです。琉球ゴールデンキングスというチームのために、ファンのために、そして一番は僕自身のために「ただ試合に出たい」というシンプルな気持ちに突き動かされて、今に至っています。やっぱり選手は試合に出ないと、ですからね。笑

結CMのこと、意外な趣味を持つ金城選手

- 結CMを拝見しました。試合中の険しいイメージとは異なる印象で驚きました。意外にも声が高い(笑)。かわいらしいと言いますか。

(冒頭と同じ映像です。改めて。)

金城茂之さん:
ああ、声ですよね。僕は普通に話しているだけなんですが、クスクス笑われることがあって。僕は生まれてこの方、ずっとこの声だからもう慣れっこですけど、なんで笑われてるのかなって。笑

- そんなことが。いえいえ、とても爽やかなCMでした。ヘッドコーチからツッコミが入り、笑いもあって面白かったです。沖縄ファミリーマートの直営店でも撮影したそうですが、CM撮影は順調でしたか。撮影秘話などあったら教えてください。

金城茂之さん:
僕らが全く時間を取れなくて、かつかつのスケジュールの中で撮影したので、大丈夫だったかなと思って(笑)。撮影自体は楽しかったですよ。ファミリーマートの店内では、普通に買い物客がいる状態で撮影しました。お客様がいなくなった瞬間を狙って撮影したので緊張感がありましたね。試合中には感じたことのない、ある種のプレッシャーといいますか。笑

- ちなみに、ファミリーマートで立ち読みする姿を目撃されてるそうですね。たまにファンのSNSで呟かれていたり。よく購入する商品などあるのでしょうか。

金城茂之さん:
カフェオレをよく買います。わりと甘党かもしれないです(笑)。あと、ファミチキも好きですよ!
立ち読みは…漫画をたまにしていますね。最初は全然恥ずかしくなかったんですけど、あまりにもSNSで呟かれたり、ファンの人に言われるので恥ずかしくなってきました。でも、未だについしてしまいます(笑)。

- 練習や試合のない休日はどんな過ごし方を?

金城茂之さん:
休日は家族とゆっくり過ごしたり、わりと家でのんびりしてます。息子も漫画が好きなので一緒に読んだりも。あと、ここ最近なんですけど、趣味が増えたんですよ。実は水槽を購入して熱帯魚を飼育してるんです、エビを。

- エビ、ですか?足を小刻みにパタパタさせながら優雅に泳ぎぐ。確かにあのかわいい動きには癒やされそうですね。飼育のキッカケがとても気になります。

金城茂之さん:
リハビリの先生が熱帯魚を飼育していて、リハビリ中に熱帯魚の話を聞いていたんですよ。興味を持ったら先生がくれたんです、エビを。チェリーシュリンプという名前のエビなんですけど、一気に繁殖するんですよね。一時期は20匹くらいまで増えて、でも今は1匹だけになってしまった。シーズンが始まると忙しくて水槽の掃除まで手が回らなくて、エビを飼うには知識が初心者すぎて恥ずかしいですね。

もしチェリーシュリンプの飼育に詳しい人がいたら、ぜひ教えてほしいです。(よろしくお願いします…)

チェリーシュリンプ
参考:チェリーシュリンプ

- 最後になりますが、金城選手は琉球ゴールデンキングスに初期から在籍する唯一の選手なだけに、現在までの歴史を語るには欠かせない人物。今日はキングスを代表して、プロバスケの選手を目指す若者に向けて、バスケが上達する秘訣と今シーズンへの意気込みを教えてください。

応援する写真(琉球ゴールデンキングス公式サイトより)
琉球ゴールデンキングス公式サイトより

金城茂之さん:
僕が子供の頃は、マイケル・ジョーダンとか、NBAのプロバスケットボール選手のビデオを何度も見て、見よう見真似で練習していました。1番いいのは、ディフェンスが上手くて、シュートもドリブルもパスも上手い人が理想的じゃないですか。でも、そんな人はめったにいないですよね。

だから、まずは自分の武器をひとつ持っておくこと。自分が最も自信を持てる武器をひたすら練習して、自分の得意なことで勝負していく。その先の動きは人によってそれぞれ違うので、これは人には負けないと思える武器を持つことが大事。その武器をいくつも掛け合わせて持っている人がスーパースターなんじゃないですかね。

今シーズンは、去年以上の結果を狙いにいきます。試合を観戦される観客の皆さんには、選手が苦しくなる時間帯にファンの声援でグッと後押ししていただき、僕たちは結果を出していきます。応援よろしくお願いします。

金城茂之選手

B.League開幕

今シーズンのB.LEAGUEが開幕しました。10月12日(金)・13日(土)にはホームアリーナの沖縄市体育館で試合が行われます。12日のホーム開幕戦は沖縄ファミリーマートGAMEです。琉球ゴールデンキングスのスピード感とパワフルで迫力のある試合を間近で見るチャンス!プロバスケットボールの真髄を肌で感じながら、躍動感あるゲームを観戦して一緒に応援しましょう。GO GO キングス!!
琉球ゴールデンキングス公式サイト

取材・記事:OKINAWA GRIT運営/フリーライター・編集者 みやねえ(miya-nee)
撮影:ナカンダカリ マリ